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【ネタバレあり】アニメ「グリッドマン」1~3話 感想 クールジャパンを名乗れるアニメはあると思うんだ

こんばんは、へるもです。

アマゾンプライムで見てたのですが、このアニメはなんか異質でした。

 

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「SSSS GRIDMAN」公式サイトより

  

 

異次元の戦闘表現

  

いや毎回本当に凄いです。

 

最近のアニメの描写って結構体力使っているのは分かるのですが、破壊されるオブジェクトは一律に立方体に砕けたり、なんでもかんでも素早く動かすことに力を使いすぎだったり、凄いのですが予想が付いてしまう悲しさがあると思うのです。

(もちろんは爽快感があって好きなのですが)

 

それに比べて本作は破壊の生々しさにこだわっている、あるいは特撮系を意識したがゆえに一般的なアニメ描写と一線を引いている気がします。

 

一目で見て分かるのは、破片が本当に破片と分かるような形で描写されているシーンです。やや回転しながら吹き飛んだりする部分は、アニメというより衝撃映像!を見ているような錯覚に陥りさえしました。

AKIRAとかを思い出しますね。

 

加えて、戦いにあわせて壊れていく背景とか、ゆっくりと重い質量感が描写される破壊/戦闘シーンとかは迫力と緊張感が凄い。

 

このゆっくりと、というのはなかなか描写されません。ぱっと思い出せるのはエヴァンゲリオンエヴァと白いやつらが戦っているときですが、それくらいまで記憶を辿らないといけません。

 

思わず見入ってしまいます。

 

あと地味に怪獣の炎が上を通ったときに友人キャラ(名前を覚えていない)があつっっていうのが好きです。

その一言だけで、破壊とかはなくても凄いエネルギーを秘めているのだと分からせてくれます。

 

一目見ただけで引き込まれるようなシーンをこんなに連発できるというのは本当に凄いです。

近年の日本の自画自賛には辟易としてしまいますが、これは技術の到達点の一つであり、間違いなく日本が世界に誇れるものなのではないでしょうか。

  

 

謎多き導入

 

記憶喪失の主人公、なんだかんだ面倒見のいいヒロイン、神々しさすら感じる怪獣、NPCのごとくコミュニケーションが成立しないグリッドマン

 

いいですねいいですね~

1話を見ただけでは話がまったく分かりません。

 

こういう謎がちりばめられた導入というのは否応なしにわくわくしますし、続きが気になります。

 

こういうときに決まって思い出すのはクレヨンしんちゃんの映画、ハイグレ王国の~という作品です。

平穏そうに見えても絶対に何かがあると確信させてくれる。

 

 

平穏すぎるという不穏

 

1話と2話の途中までは異常なほど平穏な風景が描写されていました。

主人公が記憶喪失だったり、グリッドマンが現れたり、怪獣が街を壊したり、明らかに非日常なのですが、ゆるゆると続いていくお話。

 

主人公+友人ポジ+ヒロインでグリッドマン同盟とか00年代のラノベか(笑)

 

グリッドマンの造形はウルトラマンとか戦隊ものを思わせるので、街は壊れても人は死なないお約束かな?

いやでも、今時そんな作品作るのか?逆に怖い。いつ何かが起こるんだ。

 

 

不穏のはけ口

 

見事に裏切られました。

 

山もなく谷もなく突然死んでしまうバレー部員たち。

お葬式すらないのが物悲しすぎます。

 

お葬式はなぜ行われるのか、お墓に供えられる花はなぜ墓のほうを向いておらずおまいりに来る人のほうを向いているのか。

結局供養するという行為は本質的には残された者のためのものなんですね。

 

お葬式のような一区切りもなく物語は淡々と進みます。

なんとなく状況においていかれている気すらするのですが、これはまさに主人公たちが感じているものと同じものなんだと思います。

 

よく分からないけど、とりあえず死んでしまったらしい。

主人公たちと視聴者が共有しているものはその認識だけなのですが、だからこそシンプルに主人公たちの痛みを感じざるをえません。

 

何となくバレー部復活するんじゃね?とも思っていたのですが、2話を見ることでこの物語は容赦がないということを突きつけられた気分になりました。

 

 

視聴者のもう一つの心

 

ちょっと話すくらい?の友人の死を悼み続けるリッカ。(もう少し仲良しかも)

グリッドマンの関係者となったせいか世界改変による影響を受けず、心の整理すら許されません。

 

同じ認識を保ててるのはあんまり喋らん男子だけとかつらい。

 

ボイスドラマとかから分かるように、リッカって今時の女子高生って感じですよね。

べんきょーかったるい私たちサイキョーおっさんマジきもいとか言ってそうな(偏見)でも、主人公の世話を焼いたり何だかんだ店をあけてくれたり普通に優しい。

 

あるいはこの年頃だと自分の世界に占める友達の割合は多いし、これが普通なのかも。

どちらにせよいい子や。

 

主人公が死んだ(かもしれない)ときも確認しようとしてもどうしても確認できなかったり、繊細な人間性が描写され続けます。

男(主人公)がこんなことすると、ウジウジするなと言われてしまいそう(思ってしまいそう)ですがリッカの逡巡は意外なほど受け入れることができます。

 

ヒロインが戦いによる反動を悼むというこの展開は珍しい気がしますが、いざそれを目の当たりにすると膝を打ってしまうような感覚も覚えました。

 

というのも、たぶん主人公は、視聴者にとって「こうあるべき」という姿だと思うんです。だからウジウジされるとちょっといらっとする。

だって、へこんでしまいそうな状況のとき、強くあるべきというのは自分に課す感情であり、周囲から求められる姿です。

 

それに対して(特に本作の)ヒロインは「あるべき」姿の再現でなくてもよいはずです。強くあるのは主人公(ヒーロー)の仕事なので。

そしてその姿は視聴者が持つ素直な心の一つです。周囲の人が死んだら思い悩むのは当たり前だし、あふれ出る感情を整理し切れなくてイライラしてしまうというのは当たり前のことなのです。

 

主人公不在の場で、ヒロインの苦悩を丁寧に描いた本作は、ストーリー上の悲しさや業をストレートに届けてくれたように思います。

 

そんな展開を反映してか、ツイッターのファンアートをみててもキャラ人気の高さが伺えます。

一人の絵と友達といる絵が多く、ネタ絵が少ない印象を受けます。

 

 

 

(追記 ボイスドラマは10/27まで公開の模様) 

『SSSS.GRIDMAN』ボイスドラマ 第3.3回「でもでも本当は」-期間限定配信- - YouTube

優しいといったのは取り消しじゃ!(笑)なんて。みんな仲よさそうでいいですね。

 

 

エキセントリックヒロイン

 

ずっと驚きっぱなしですが、ヒロインかと思っていたら敵だったこと普通に驚きました。お前殺したんか!

 

謝らなかったから殺されかけた先生に、謝ったのに殺されたバレー部、生み出された知的な怪獣、なんだか考察できそうなピースがそろっているのに、出てくるのはエキセントリックなやつだという一言です。

 

陳腐なたとえですが、子供が虫を殺すような無垢な残虐さですね。

初登場時は意味不明なことをいって孤立する主人公の理解者になるのかと思ったのですが、ぜんぜん違った(笑)

 

 

 

いつも本当に素敵な笑顔です。作画のよさも相まってある種の神々しささえ感じます。

 

グリッドマンのことをお客様と言っていましたね。主人公の記憶喪失というキーワードとあわせると意味深さが深まります。

彼女が殺そうとした先生は、一難去ったあと主人公にぶつかったときには普通に謝っていましたし、なんか一貫性のなさを感じます。

 

先生の無礼キャラは先生が原因なのか、あかねに何かがあるのか?

 

ぶれない悪役っぷりには感動すら覚えますが、最終的な着地点はどうなるのでしょうか。人を殺しておいて救われるというのは難しいです。

 

 

 

おっさんがいいキャラしてる

 

OPにいっぱいロボットが出ていたのでその内の1機なのかなと思っていたら、まさかの剣

おっさんお前武器なんか!

 

びっくりしました。原作があるようなので予定された驚きポイントじゃなかったのかもしれませんが、意外すぎた。

 

真面目にサムライキャリバーと名乗ったり、主人公がピンチになっても自発的には助けなかったり、家から出れなかったり、ビー玉にこだわったりなんかいいキャラしてますね。

あと、リッカにお茶をあげたり優しい。Wヒロインを差し置いた癒し枠(おっさん)だ。

 

  

にしても、身体能力が高すぎです。あと最適化とか何なの?はいすぺっく!

 

 

気になるところ

 

返信腕輪にシュシュにカッターナイフ。腕輪と自傷。モチーフとなっている気がしますが、現状はよく分かりません。今後どうなるんですかね。気になります。

 

あと主人公がいまひとつ目立っていないのが気になりますね。違う意味で。笑

 

 

こんなんあるんですね。芸が細かい。