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魔法少女育成計画breakdown 感想的なものをつらつらと

こんばんは、へるもです。

ブログには登場したことがありませんが、密かに熱いと思っているラノベ。それが魔法少女育成計画です。

 

記事というよりは散文的にちょろちょろ書いていきます。breakdownについてはネタバレを含みますのでご注意を。

 

 

魔法少女育成計画

2015年くらいにアニメ化したので知っている人も多いかもしれません。あれは原作の1巻部分で、その後restart、limitedなどに続きます。

魔法少女というものに抵抗がなければぜひ続きも読んでほしいです。というか魔法少女というものに抵抗を感じて読まないなんてもったいない。アツイ!という場面が非常に多く、好きな人は絶対に好きですね。

 

自発的に読むのが面倒という方はAudibleでも。かくいう自分もアニメ(1巻)→その後Audible→短編集含めて電子書籍という流れで読みすすめていきました。

 

Audibleは結構当たり外れあるのですが、本作品の質はかなり高く買いっぱなしになりがちな自分もすんなりと聞くことができました。魔法少女育成計画のフワフワとしたガワ(外側)とガチバトルな中身のギャップを読みあげのスピードやトーンで表現してくれているのが楽しいです。コキュウートスゥ。なんならAudibleで聞くほうが質の高い楽しみ方ができるのでは?とも思ってしまいますね。

魔法少女育成計画はキャラクターが多いので最初は把握するのが辛いのが弱点でしょうか。でも書籍を読んでもそこは一緒な気もします。 

 

新しい物語を読みすすめるのは面倒だけどアニメは知っているという人がいればアニメキャラクターが出てくる短編集をおすすめします。16人の日常だったかな?ユーモアがあり、きれっきれです。

若干下世話?な話題を下品にならない範囲で笑いにもっていく技術が非常に高いように感じます。

 

 

魔法少女育成計画breakdown

前置きが長くなってしまいましたが、本題の魔法少女育成計画breakdownです。時系列的には1巻→restart, limited→breakdownかな?ここからネタバレ含みます。

 

 

ぱっと振り返って

ドリーミィチェルシーやばいな。。。

アラサーどころかアラフォーとも言ってしまえそうな子供部屋おばさん(家事手伝い)がまさかこんなに強いとは。しかもピースやらWピースやらハートやらで戦うとか。

 

彼女の戦闘シーンでは何を言っているのかわからなくて何度か読み返してしまうことが何度かありました。彼女はいたって普通の振る舞いをしているのでしょうけど、かわいい!とかいいながらハートやらピースやらで戦うところは狂気じみていました。(笑

ときどき狂った人間の内面描写をする小説ってあるじゃないですか。今回で言えば恋々とか。チェルシーの戦闘シーンはあれを読んでいる感じです。

 

まぁ恋々は恋々でやばいやつでしたが、チェルシーのほうが奇怪だったかな、、、

年を経た”つはもの”なら、これまで出てきたような職業魔法少女感に収束していくだろうと無意識のうちに予測していたのだろうと思います。全くそんなことはなかった。

徹頭徹尾チェルシーチェルシーで、 既成概念をぶっ壊していく彼女を描写する文章は私の脳みそのなかで荒ぶり猛り、なかなか理解という籠の中に入ってくれませんでした。

 

あとがきを読むと編集者の高い要望に作者が答えた結果だということ。やっぱり世の中には叩けば叩くほどいい味を出す人っていますよね。編集者の方にはもっともっと叩いていってほしいところです。

 

余談ですが、バスローブを来た姿から情婦と連想されるシーンが入っているのは彼女のブランドを保つ上でよい役割を果たしてくれたと思います。「パワー系妄想アラサー魔法少女(無職)」だけでは流石に救いが無さすぎます。女だらけの世界でほとんど意味のないことではありますが、色気はあるんだ。色気は。

 

 

クラリッサ  

過去作でメインをはったことがない人物の中ではクラリッサが一番印象に残っています。めっちゃ若いけど実力者、みたいなキャラクターが結構好きです。

 

小学生の女の子があちらだよと背後を指で指している、みたいなところはぜひ挿絵に応募したかったですね。気がついたら締め切りを過ぎていて応募すらできませんでした。 

 

魔法少女育成計画のいいところって魔法少女になると其の人の本質が出てくるというところだと思うんです。

一般社会では幼い実力者というのはなかなか存在しません。社会通念、身の未熟さ、それらが故に経験を得られない立場だからです。しかし本作の魔法少女は、元の姿が何であろうと魔法少女という一律の姿を与えられることで全員が同じスタートラインからよーいどんです。

これまでの人生や魔法の優劣などによる差は当然ありますが、可能性は無限にありそれを掴み取れるかどうかは本人の鍛錬という要素が非常に大きくなってくるわけです。

 

ひるがえってクラリッサは若年ながら戦闘能力、判断能力、交渉能力などに長けており、魔法少女育成計画らしいキャラクターだったなと。

 

 

マーガリートさん達

マーガリートさんは生き残れなかったかぁ。最終決戦でトウタの描写が始まってからこれは勝ちフラグや!あとは全員生き残りや!と思ったのですが、なかなかうまく行かないものです。

下剋上羽菜さんは好きだったので師匠には生き残ってほしかったな。マイヤやJOKERSのフィルルゥ/スタイラー美々みたいなクズ要素の少ない実力者って容赦なく死にますよね。悲しい。

 

そんな実力者の願いも虚しくトウタとイオールは人造魔法少女に興味を持ってしまいました。これは死亡確定かなと思いつつ、一回生き残るとそこそこ死なないというのも魔法少女育成計画なのでどう絡んでくるか楽しみです。

 

 

フランチェスカ

いやー強かったですね。現身つよい。強すぎて戦闘シーンが逆に眠くなったりしました。だって勝てねーし。

 

デスゲームにしても陰謀にしても多数vs.多数の殺戮だったこれまでと違って強敵をみんなで倒せ、って感じが逆に新鮮でした。その果てに7753は木になったり、メリーはフランチェスカになったりえらいダイナミックな作品です。

 

 

シェリーズパイ

作中では無能のような扱いですらあった彼でしたが、読者的には真夏の夜の涼やかな風のようでした。どいつもこいつも物騒な願いにいろいろな人を巻き込みますが、シェリーズパイ君は極めて牧歌的な存在です。

 

彼にしろ、ペチカにしろ、美味しい料理というのは魔法少女を引きつけるフックを持っているのに中々心の平和は訪れません。魔法少女は食べる必要がないからですかね。

 

 

ラギとクランテイル

ラギ師の最後のシーンは心にくるものがありますね。クランテイルの糾弾は老人の心の柔らかい部分を確実にえぐりました。敬老の精神を持ち合わせているとは言えない自分ですが、辛いシーンです。

 

遵法だけでは世界が正しく回るという主張はある意味、幸せな世界にいたということです。綺麗事を綺麗に守っていれば(左遷などの憂き目にあったとはいえ)命を揺さぶられることのないマジョリティの枠内にいたということですから。

クランテイルは違いました。彼女は法が守る穏やかな世界に突如としてた生まれた無法地帯の穴に落とされてしまいました。友人を失い、命をかけた戦いに身を投じざるを得ない状況に陥った彼女の主張は、今回の事件を経たラギ師に現実を叩きつけます。その現実は”そこにあるというだけで傷をつけ血をながさせている”ことでしょう。

 

ラギ師が最後にとった「魔法少女の能力を油断している魔法使いに行使する」というものが法律の枠内にあるのかどうかはわかりません。しかし、少なくとも遵法精神を支えていた信念に反したものだったはずです。

ラギ師は自らの信念の枠の外に踏み出しました。この一歩はかつてのスノーホワイトの決断の相似形に見えます。

 

無法者が跋扈しようとも、良識派の良識によって形作られたのが現在の秩序ある世界でした。その良識派が次々とグレーゾーン、ブラックゾーンに踏み出していきます。果たしてこの世界はどうなってしまうのでしょうか。次巻は魔法少女育成計画(白)がでるのかなと思っていましたが、こうやって紡いだ文章を読み返すと白くはなさそうです。なんて。