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ラノベ「はたらく魔王さま」 20巻 感想 魔王と勇者。密室。何も起きないはずがなく、、、【ネタバレあり】

こんばんは、へるもです。
 

はたらく魔王さま 20巻の感想です。

電子書籍導入前から追っているラノベはこれだけになってしまったのですが、ついに近くの書店には新刊すら入荷されなくなってしまいました。
市場のシュリンクを感じます。悲しいな。

 

 

 21巻の感想はこちら!

herumo.hatenablog.com

 


パッと振り返っての感想

ここ何巻かは説明くさいというか、展開されるギャグに乗り切れないところがあったのですが、前巻の鈴乃回といい盛り返してきましたね。

そーこれこれ、これでええんや!(誰

 

いやラブコメっておもしろいんですね。

ちなみに残念ながら何も起きませんでした。(笑)

  

 

エミリアとサタンの新婚生活!?

表紙を見た百人中90人くらいはこれ新婚さんだと思ったんじゃないんでしょうか。これが最終巻でエミリアエンドの表紙だ、といわれても違和感がありませんね。
魔王憎しのワンパターン脳筋で、アニメでは顔芸要員だったあのエミリアですが、正妻力ではそろそろ一番では。

 

そこはかとないインモラルさがあった

先にお風呂はいるわね。ねちゃった?

 

なんかこう、、、エロかった。

いや、エロいというのは正確ではなくて、i love you.を月が綺麗ですねというような情緒と、呉越同舟の背徳感が同居するというか。

 

別にラッキースケベがあるとか、天使と悪魔が夜に一緒にいるといきなり片方が欲情するというような(ある意味で定番の)アホな設定があるとかもなく、二人の良識ある人間が生活の場を共にするだけです。

それでもそこにはにおい立つ艶がありましたね。

 

大の男が少女の極めてプライベートな空間に侵入して(言い方)、共に暮らすというシチュエーションだけでも緊張感や非日常感があるというのに、そこに加えられるエミリアの隠された好意という大さじ一杯の砂糖のほのかにされど強く甘いことよ!

 

何を言ってるか分からないですが、とにかくいいシーンだったなと思います。

感情がひどくおさえられていましたが、それは逆にエミリアは四六時中魔王のことを考えていたという証左ではないかな。 

 

キリトくんもびっくりの疑似家族には抵抗があったのですが、それがなければこのくだりもなかったと考えると、疑似家族万歳!ですね。(笑)

 

彼女の怒り

エメラダが非常にいい仕事してました。
前面に押し出されすぎるとうざいんですが、やはり魔王と勇者を扱うこの作品には憎悪が必要だなと思います。

 

だって侵略者ですもん。魔王は。
何人も何万人も殺した軍の司令官を憎まれないなんてあるのか?という話です。

 

それが最近はやれアドラメレクは名将だった、やれ人間どもはまとまりがないなど、魔王軍ageというかなんだかんだ魔王は凄いね、みたいな生暖かい雰囲気は違和感バリバリです。

 

そんな中でのエメラダの慟哭に似た告白は作品をピリっとしめてくれるものだったと思います。

 

エミリアの怒りと課せられた使命

かつてはエミリアが人間側の(そして本作品の)怒りという役割を担っていました。怒りの種類は2つあります。

1つは被害者としての怒り。

もう1つは勇者としての怒り。勇者、英雄にはいろいろな形がありますが、エミリアは人民の剣であり盾。武をもって怒りを体現せしめるもの。そんな勇者でした。

 

どんなに理由があったとしても魔王は悪だと断じ、糾弾しなければならない。糾弾せざるを得ない。

しかしそれも永遠の主張にはなれません。

 

 

エミリアの変化

死んだと思っていた父親の生存、放置プレイに走ったライラの存在、魔王の助力による窮地の脱却、オルバの裏切り、などなど。

勇者エミリアの信念や価値観を根底から覆す事件がたくさん起き、エミリアはなぜ自分が魔王に怒りをぶつけているのかよく分からなくなっていったのではないでしょうか。

 

いろいろなものを奪いつくしたのは魔王ですが、一方で勇者ではなくありのままの彼女を直視してくれるのは魔王軍だけで窮地にも駆けつけてくれました。(実は奪われていなかったし、人間側の何人かはエミリアのためを想って行動しているのですが)

それに対して人間側はひたすら利用しようとするばかり。あまり描かれていませんが、辟易、というか失望が大きかったに違いありません。

 

それでも憎く思い続けたという記憶は消えず、更に彼女は勇者であり”みんなのために”ふりあげた腕のおろし方がわからない。それがちょっと前までの彼女です。

 

 

育ての保護者、メタ的にも保護者

エメラダの吐露はそんなエミリアが前に進むことを許すための手助けをしてくれていたように感じます。

エミリアが担っていた怒りをエメラダが引き受けることで、エミリアは勇者としてではなく一人の人間として一歩前に踏み出せたというか。

 

作品内では子離れできない母親のようなわがままな感じもしましたが、エミリアに対する彼女の貢献はやはりとても大きく、戦いの中真っ当な人間になれたのはエメラダのおかげなのだろうと感じさせる一幕でした。

今のちほより小さかったというと中学生くらいの年齢でルシフェルと戦ってたのか?壮絶すぎます。

 

全然話変わりますが、「いざとなったら私だったセンリャクヘイキ級なんですよ~」ってくだりなんか良くないですか?やはり個人で破壊的な力を保有しているというのはロマンがありますね。

さす(が)おね(いさま)!

 

 

進撃のちーちゃん

ずっと違和感があった悪魔大元帥さきちほの活躍でしたが、この巻でもやはり炸裂し、なんとも言えないもやもや感を残しました。

 

例えば高校生がアメリカ軍総司令官を味方につけた状態で、トランプさんやプーチンメルケルを世界を手玉にとれるか?という話です。
軍事力が幅を利かせている異世界なのでそれができるかもしれませんし、そんなリアリテイの求め方は野暮だとは思うのですが、なんかもう飽きたわ、と強く思ってしまう自分がいます。

 

ルシフェルがJKの話がホイホイうまく行くはずないと言った時にはそーだそーだと本気で思ってしまいました。

 

機械仕掛けの女神ちーちゃん

うがった見方をすると物語の展開上のどうしても無理でつじつまが合わない部分を女子高生の奇跡で解決しようとしているように見えます。
そのせいか、妹系後輩巨乳という最強の属性があるにもかかわらず、なんか好きになれません。

(余談ですが、東京グールのヒナミは凄い好き)

 

それくらいじゃないと単なる女子高生をストーリーに絡ませるのは難しいというのは分かるのですが、腑に落ちない。。。

ただ、そんなことをいっても虎の威を借りまくるシーンはちょっと面白かったですね(笑)

 

 

「魔王だからってクビされても納得できないだろう」「そんなことしたら怖いし」

ここ数回のちーちゃん大活躍を見てやはりこの作品はサタンやエミリアが主人公でヒロインなんだな、と強く想いました。

 

本作の魅力の本質は、「魔王や勇者という非日常な存在が、日本の日常になんだかんだ適合し、なんならネイティブ日本人より適合しているんじゃね?」という異世界→日本というギャップだったんですね。

だからこそ身バレしたときに、店長が魔王におびえる描写だけでこんなに面白い。

 

異世界→日本のギャップが面白いというのはもちろんずっと分かっていたのですが、女子高生という日本の日常的存在がエンテエスラの非日常に立ち向かうという逆(日本→異世界)のギャップを見て、こっちじゃないんだ、ということ改めて実感しました。

女子高生が活躍するのを見てもふーんまぁ無理じゃねって感じです。

 

ここらへんは私がアラサーであることに起因するのかも知れません。本作品は日本の社会を強く意識づける作風であり、ラノベの表現と社会の常識がきってもきりはなせない構図になっています。

園都市で異能力者が活躍するような世界観なら自分の事情と切り離して作品を楽しめるはずですが、こうも社会の常識を持ってこられると、ついつい自分の事情とすりあわせをしてしまうんですよね。

 

そして、社会に出てもうそろそろ10年という私には齟齬に感じてしまう。異世界になんていったことないですが。

想定読者層であろう高校生には受けるのかも。

 

 

今後

最後は魔王軍の二人がしめていましたが、まさかルシフェルがかっこよく、サタンがださい感じに演出される日が来るとは。

 

魔王の愛が分からない感はちょいちょい出ていたので想定の範囲内というか、来るべくしてきたか、って感じなんですが、ルシフェルよ。このイケメンだれだ。

ちょろちょろと有能感を出していたルシフェルの存在感がうなぎのぼりですね。

 

後もう少しのはずですがいまだにラスボスが不明という状況のなか、どう展開するのか。期待大です。

 

herumo.hatenablog.com

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