社会人はリラックスしたい

社畜の馬小屋

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日本の技術革新を遅らせているのは知識不足とか新しいものにかえる勇気や予算がないとかではなくて「管理職同士の同属意識」ではないか?

こんばんは、へるもです。

 

日本が先端技術を取り入れるのが苦手なのは、知識不足とか予算不足とかみたいな新しい技術を導入するのに何かが不十分な状態にあるからと思っていたのですが、そうではなくてそんなのは分かっているけど技術を知っている若手にやんややんやと言われるのが嫌な管理職のプライドにあるのではないか、というお話です。

今回はちょっと社会人らしいですね。

 

 

大企業であっても現場に入れることすらできない世界最先端

 

会社はトップレベルだし、管理人もそんな中で生きていっている人間で、だいたいの技術の系譜は知っています。

技術力のない会社でもないし、私自身が的外れなことは言っていない(はず)なのに、そんな環境にあってすらAIやIotなどの新技術を活用する体制にはなかなかならないというのが、現実です。

 

管理人をとりまく環境

もう少し細かくいうと、管理人の勤める会社は普通に大きい会社です。トヨタみたいに世界でも有数というわけではないですが、グローバル化の荒波に負けず安定した利益を出しています。自分だけの新しい技術を持っていないと死ぬことは分かっているので、技術開発とそれを利益に変えるシステムの構築には貪欲ですし、変化を厭う大企業の中にあって自己変革を行える方なのではないかと感じます。

もちろん会社が大きいだけではなくて、みんな本当によく勉強します。数年前までAIとIoTの差がついていなかった後輩もいつの間にか理解していました。これだけだとなんかレベルが低いように感じるかと思いますが、これはただの一例です。それにAIやIoTは専門分野というわけではありません。自分の専門分野の切磋琢磨もしつつデジタル技術も含めた別の分野の技術をフォローして自分の専門分野に融合することができるというのは、普通にレベルの高い技術者です。パイソンを使って予測の精度を上げたり、そういったことはどんどん皆がやるようになってきています。若手は。

 

管理人の仕事環境

若手を35才未満に定義すると、一緒に仕事をするメンバーで若手というのは10人いたら一人か二人くらいです。その次の世代は50前後が多いです。相次ぐコストカットで現場の人員は減っていますが、昔は口頭伝達ですんだものを紙にしないといけなかったり、紙は邪魔だからアナログなハンコをもらった後にデジタル化しないといけなかったり、訳の分からない仕事は年々増えていきます。ぶっちゃけ現場は疲弊しています。

機器はだいたい最初に工場を作ったときのままで放置されており、普通に古いです。さすがにデジタル化はしていますが、だいたいの情報はメモリに余裕がないのでスモールデータのまま次々に上書きされていきます。

 

大企業でも内情はそんなものです。若手がいないと新しい技術は入ってこない傾向にありますし、設備が古いとそれを今の機器に対応させるための改修作業に多額の費用がかかるのは予想できます。そのため、知識も予算もないので研究開発を旧来の手法で進めるのはしょうがないと考えていました。

 

不祥事の発生メカニズム

余談ですが、最近の相次ぐ不祥事は現場の疲弊が根本なのだという確信めいたものがあります。ぴんと張った糸が現場の様子です。どんどんどんどん糸は負荷をかけられ、強い力で引っ張られていっています。日本の製造現場はやはり世界でもダントツに真面目で責任感があり強いのですが、それでも糸はどこかで切れますし、張り詰められた糸はいったん切れてしまうと同じ長さで結びなおすことは不可能です。

東電のことも有り津波の高さを低く見積もるようなトップ層の利益中心主義が原因かと思うような人が多いかと思います。しかし、たぶん自分の願望に周りをあわせるような意図を持った何かが不祥事を起こしたわけではない、と感じます。

出発点は確かに利益を出したいマネージャーの無理難題だったはずです。ただ、沈み行く日本を見ていれば現場の人間だってその”無理”をしないといけないも分かるために、”現場の努力”として不効率に見えるものをごまかしてきました。それを続けていた結果、ごまかしてはいけないものをごまかしてしまった、というのが真実なのでしょう。

東電のケースと明確に違うのは、マネージャーはリスクのある変更なしに改善したと思っており、現場はごまかしたものがリスクのあるものだと気づいていないであろうという点です。(性能的なあれこれとか法律的なあれこれを把握するのがとても難しいんですよね・・・)

どんな理由でも正式な手続きをふまないといけないですが。リカバーのコストがかかってしまいますし。

 

閑話休題

 

知識や予算じゃないのかも?

 

ちょっと前に管理職の人と飲む機会がありました。特に仲がいいわけでもなく(むしろそんなに良くない)嫌な予感しかしていなかったのが的中し、2時間ひたすら説教されるという社会人あるあるな時間の無駄な使い方をしてしまったのですが、そのときに興味深い現象に出会いました。

 

他部署への提案と安定のスルー

コンプラ的にあれなので詳細はもちろん言えないですが、自動化関連であーすべきこーすべきコストメリットはあるはず、とずっと他部署に言ってきました。

 

他部署といっても普段から交流があり、二人三脚でやっていくような部署です。もちろん外から無責任にいっていたわけではなく、その部署が仕事を回せないので私が肩代わりし、その中で見えてきた課題と改善案がありました。提案は「人手不足でしんどいなら自動化したら楽になるし、安くできそうやでー」って感じです。

結果は安定のスルーです。人手不足で他部署の人間におんぶにだっこになっているのに、人手不足を解消・緩和しようともしないのは謎です。ただ、確かに想定の費用対効果が実際にどれほど発揮されるかはやってみたいとわからず、検討してみるほどの人がいないのは理解できます。しょうがないので、とりあえず提案するだけ提案してみて特に進捗なしというのがいつものパターンでした。

 

部下の他部署への不満を自分ごとのようにとらえる人

そういう背景のもと行われたのが、その飲み会でした。正直行いきたくなかったですが、家が近いのである程度はつきあいです。なんか機嫌よさそうなのでなんとかなるかと思いきや、開始数分後から管理職からのダメだしが始まります。

何を言っているのか正直よく分からなかったのですが、おぼろげながらに察することができたのは私の言っていることが理想論で宗教みたいだということです。まじか。というか相性が悪いことが分かっていたので、その人とは会話がほとんどないんですが。

 

状況を整理すると、あるテーマで他部署に人を使うならここを直してくれといっていたら普段会話のない、そのテーマには直接関係のない管理職が怒ってきたという感じです。今の改善すべき点はここで、改善案はこれで、コストはこれくらいだよといっているだけなのですが、前半部分が批判のように聞こえたのかもしれません。思い出してみると上のいうことに黙って従うような人なので部下にもそれを求めていたのでしょう。

不思議なのはテーマに関係がないその管理職が、私の言に怒りをためていたことです。怒りたいのは他部署のテーマをやらされた私なんですが・・・おそらくはその管理職が同族意識をもっていたのは同じ部署である私ではなく、立場が同じ他部署の管理職であり、私の発言が自分を攻撃するものと受け取っていたのかもしれません。

 

何かを変えようとするには関係ある部署の偉い人だけでなく、(あんまり話に関係なくても)その人に近い管理職の心情も慮らないといけないようです。

これが本当なら、なかなか前に進まないのも納得ですね。