社会人はリラックスしたい

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アラサーリーマンです。漫画の感想を主に、メンズファッション初心者向けの服レビュー、乗馬未経験者・初心者向けの記事を書いていきます。

ラノベ「World End Economica」感想 投資を知らない人でも知っている人でも楽しめる熱いラノベ 

こんばんは、へるもです。

 

World end economica(ワールドエンド エコノミカ)ってどんな作品と思う人は多いと思います。私は下記のブログで見かけるまで知りませんでした。(紹介ページがどれだったか分からないのでトップページです)

頭の上にミカンをのせる

 

端的に言えば投資の話ですが、これがまたアツい。そして内容が濃い。

ラノベの”経済”と呼ばれる狼と香辛料の原作者である先生がシナリオを担当しており、内容はやはりお金の話が多いのですが、単にそれだけでなく、一種の冒険譚でありラノベであるので非常に読みやすいです。

 

新型コロナで投資を始めたいと思っている人はいるのではないでしょうか。そんなあなたでも、そうでない自宅待機で暇なラノベ読みでもおすすめできる作品です。

 

World end economica(ワールドエンド エコノミカ)の感想です。以下、ネタバレがあるのでご注意ください。 

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https://spicy-tails.net/wee/

 

 

振り返って

これはどう終わるんだ!終盤の怒涛の展開でそう思わなかった人はいないのではないでしょうか。

 

いろんな人のほぼ全財産を扱うことで救えるかもしれないという期待目標を達成できないどころか損失すらありうるという不安

積極的な投資をしたことはないのですが、ハルをとりまく状況を想像するとぞっとしました

 

幕引きの引き金が虚偽のインサイダー情報というのがまたにくい。

プログラムを組んだあとはやたらとうまくいくので、そこに起承転結の"転"を持ってきて終わりかなと終わっていました。プログラムのミスをハルがノウハウで解決して、どこまでいってもやはり人間の力が必要なんだぜ!的な結論になるのかなと。

 

そんなことはなかった。悲しいくらいに。

 

 

ただ、突然後ろからぶん殴られた感じがあったかといえばそうではなく、ある種の爽快感があったのも事実です。一本とられた!的な。いや違うな、やはりそう来たか!かな。

投資の世界は思惑の読み合いだ(だからソフトの欠点は人間の思惑を読みきれないところだ)と繰り返し説明され、さらに大きいリターンには大きいリスクがつきものだということも説明されていました。

ハルの敗北(失敗と表現すべきか悩む)はあくまでこの範疇の出来事なんですよね。理不尽な暴力に敗れたのではなく、”思惑を読むべし”という不文律のルールの中でただ失敗したのです。ソフトが効率を出せない理由と同じ文脈で、ハルはリスクをとりすぎて失敗しました。

 

私たちはハルに同情してしまいますが、現実にこんな人がいても、ハイリターンに破滅はつき物でその前提の中で投資していたしなぁ、くらいの感想しか抱かないでしょう。

 

パソコンと能力さえあれば子供でも大金持ちになれる一方、1つの大きなミスが幾多の成功を帳消し、、、どころか赤く塗りつぶしてしまいます。投資の世界のダイナミックで壮絶な世界観と弱肉強食感というのは作者が一番描きたかったものではないでしょうか?

 

 

月の世界

月の世界という舞台設定は意外じゃありませんでしたか?

管理人の中には投資=お金=現実世界の図式がなんとなくあったので、いきなりファンタジーめいた要素が出てきて読み始めの数ページはちょっと混乱しました。(笑)

てっきり地球によく似た異世界か、ウォール街やロンドン、香港あたりの話になるのかと思ってましたよ。

 

 

地球という共通項

月面都市の「地球の歴史も踏まえているけど別世界面」という設定は絶妙です。

自分の世界と同じルールで動いているという認識をもてるというのは、こと経済を主題にする物語には必要な要素だなと思いました。

 

ラノベ世界の”経済”といわれる狼と香辛料も好きで見ていたのですが、中世くらいの価値観を持つ異世界を舞台にした話なんですよね。自分の見知った世界とは全く違う。

それがゆえに、どこか自分とは無縁の何かとして見てしまっていました。

 

その点、月面都市という世界観は管理人と作品の間に”地球”という共通項があり、それが自分と本作の距離をぐっと近づけてくれました。

たとえば地球野郎、月生まれ、というような言葉が飛び交っていましたが、こういう言葉ですら親近感を覚えてしまいます。関西人はオチを求める、東京もんは冷たい、みたいな出身地を使ったスラング?はよく使われますしね。(笑)

 

更に地球の話だという前提があることで、「空売り」とかちょっと難しい言葉も新聞で出てくるものと同じ意味を持っている部分がよかったです。

専門的な話なので、単語だけでも聞いたことのある言葉があると理解しやすかったですし、この世界のどこかでおきているプロフェッショナルの話の覗き見できたような、”玄人”だけが知っている話を聞けたような、そんなノンフィクション文学のような凄みも感じました。

 

違う観点で言うと、”地球の”経済を持ち込むことで、一定の縛りがかかっていました。その縛りとは、ストーリーの中で経済的に突飛なことをすると途端に陳腐な話になるということです。

おそらくこの話に興味を持つのは若年層より、ある程度経済的知識を備えた人間でしょう。そういった人間がそれはないな、と思うような発言、行動をしてしまえば、本質的にこの作品の価値は毀損してしまいます。

少なくとも私には変な突っ込みどころを感じさせない作品でした。現実で縛りながらテンションが上下する作品を作れるって凄い。その土壌がある金融の世界って凄い。

関わりたくないけど。

 

あと、蛇足かもしれませんが、重力が低い月面世界では鍛えれば忍者のように駆け回れる、という価値観が好きです。

大半の人は特に鍛えることもなく、またそれを目指すことも意識にないのですが、ハルは大きな夢を持って現実的な研鑽を積んだ結果、街中をびゅんびゅん駆け回ります。

それはまるでハルの生き方や在り方を象徴しているようで、投資の世界で成功した子供につけられるであろう”金の亡者”、”ませた幸運なガキ”みたいな負のレッテルを払拭し、本作品を生き生きとした冒険譚せしめてくれたように感じます

 

 

すべてを照らす光

主人公ハルが素晴らしいのは、生き生きとした夢を持つ普通の少年というところでしょうか。

スタートこそギークな小部屋に潜むオタク少年のような様相を呈していました。しかし、すぐに彼のイメージは修正されます。彼は良識と社交性を備え、女性にどきどきし、勉強家で大きな夢をもつ普通の少年です。(家出してしまうのは若気の至り、ということで。)

この属性の王道っぷりといったら!最近の少年漫画の主人公でもなかなかいません。

 

投資とか経済というともちろんお金が主要な題材になるのですが、お金というとどうしても生々しいストーリーに転げ落ちかねません実際、ハガナは買われた少女でした。(しかも、おそらくその中ではマシな部類)

さらにお金持ちになるぜ!が目標ってどうよ、という話もあります。ストーリーの輪郭が曖昧になりますし、ロマンも夢もありません。「さえかの」の主人公アキ君がコミケで一番の売り上げを目指す主人公ではなく、自分が見たいストーリーのギャルゲーを作りたかったから加藤は付いていったんだと思います。

 

この点、ハルは大きな夢を持っていました。主要テーマである”投資(お金)”は、この夢を達成するための手段としての立場を得ることで正当化され、これによりこの物語は一種の冒険譚になったのです。

付け加えるならばハルの夢は大きすぎる夢でした。それを達成するには投資しかない。ハルの投資への積極的な興味と行動は彼の夢をなすための必要十分条件を満たしています。おいおい、すごいぞ。

 

 

投資世界の主人公

物語におけるハルの役割について述べてきましたが、ハル自身もかっこいいやつです。

 

投資の世界って不思議な世界で、対処できない敵が見当たりません

戦争であれば敵が強かった、新兵器がでてきた、味方がヘマをした、みたいに敗北の理由を他者に求めることができるかもしれません。

が、投資は勝ち馬に乗るゲームで、失敗の要因の大部分って本人の判断ミスに占められていますよね。資金力の差さえあれ、みんな同じテーブルで戦っているんですから。

 

今回の幕は虚偽のインサイダー情報に踊らされてしまったことではありますが、一方でそれは誰にも強制されたことでもないですし、”雨模様”がそもそも何を指すかなんてバートンさんは言っていないです。相手の情報力に負けそうであれば、とりあえずスルーするなんて選択肢もあったはずです。少なくともハルはそれを選べました。

その結果、立ち退きに応じざるを得ない家族もいたはずですが、この話は投資の話で、しっかりと契約を結んでいます。彼は戦略的撤退ができたはずで、ハガナという強いパートナーもそれを推していました。しかし、彼は結局自分のミスが原因で全てを失ってしまいました。

 

こんな最後だったからこそハルの失敗したところをあげつらったような書きようになっていますが、彼の失敗を嗤う気持ちなんて1mmも1nmもありません。

投資の根幹も快楽も自らの判断にゆだねられており、他の職業よりその純度が高いことは間違いない。その責任を一手に引き受け、行動と選択を続けるハルのかっこよいことといったら!

 

あんまり触れませんが、バートンもすげーよい役柄だ。

強敵感がやばい。(語彙)

 

 

   

ハガナ

この記事は実は読んでからすぐに書き、感動をそのままに8割を形にし、それでも書き切れずに半年弱かかってやっと書ききることができました。

記事を完成させることができなかったのが原因がハガナです。

 

なぜ、書けなかったのか。悔しいですが認めましょう。

正直、彼女に舞台装置としての機能を見出す部分が大きく、ヒロインとしての彼女の魅力をうまく出力できなかったからです。

 

ハガナは好きなキャラです。

共犯者系ヒロイン。コードギアスのCCもそうでしたが、こういう頼もしいキャラが好きなので嬉しくなりました。めっちゃデレるし。かわいいし。

 

 

ただ、彼女の特性は彼女から生まれてきたキャラクターなのでしょうか。管理人はハガナの特性が、この世界を説明する上での、ハルとの対比を行う上での、特徴の集合体に感じてしまいました。

地球と月の関係性を示すために彼女は売られ、ハルの人の機微を理解する人間的投資アプローチを際立たせるために彼女はコミュニケーション能力が低く、投資世界のクオンツという役割を担うためにプログラミングと数学を駆使する。

彼女はまるで最大公約数です。他者の存在によってそのあり方が決まってしまった存在です。

 

最初はハガナの”数学的天才さ”が単なる小道具や属性にとどまらず、彼女のあり方全てを規定し、ひいては1巻で起きる物語の共通項になっており、それがが秀逸だなと思っていました。

無茶な値切りをするのも、素っ裸で風呂から出てくるのも、投資で活躍できるのも、そもそも月の世界に売られたのも、数学的素養、あるいは数学的素養に結びつく何か、に裏打ちされており、それこそが彼女の個性なのだ、と。

 

しかし、最後まで読みきり、こうまで整えられたものを見ると工学的に計算されつくした歯車を見ているようです。

 

ハガナに意思がないような書き様は偏見に満ちているのかもしれません。が、繰り返しになりますが、他者の中のハガナではなく、彼女の幸せの形を見てみたい。

  

 

ITの強さ

作中ではハガナが操るソフト(IT技術の一つ)が大活躍します。

これは現実でも起こっていることであり、人間が太刀打ちできない巨人となりつつあります。

管理人は研究開発職で、人間のノウハウにコンピュータは勝てないといわれてきた領域で仕事をしているのですが、最近は普通に駆逐されそうになってきました。

この作品を読んで改めて思ったIT技術の強さは以下の二つです。

 

①デジタル化されたデータは無限に蓄積され、それを自由に使えること

②コンピュータや数学という共通言語を使うことで他分野の天才たちが参入できること

 

現場の人だけが知っているノウハウってなんか職人凄い!って感じになりますが、結局は怠慢で生まれるんですよね。

知っているんなら全員で共有したほうがいいんですが、それをうまく言語化できないし、自分が見つけたコツを教えてしまうと自分の存在価値が減ってしまいます。(囚人のジレンマ)あとはその価値を知らないパターンもありますね。

 

共有化するには莫大なコストがかかるし、関係者の積極的な協力がえられるわけではありません。そんなことに時間を使うならもっと違う消費電気量を減らして生産コストダウン、のような分かりやすいテーマに時間を使おうというのが普通の流れです。

そういうわけで誰も積極的に共有化しようとしません。

(ちなみにこの共有化を超強力に推し進めたのがトヨタで、だからこそ自動車業界の盟主の一人になっています)

 

IT業界の人間は、ナチュラルにその逆を行きます。

特許に反対だし、技術をオープンソースで公開するし、

しかも恐ろしいことに、IT業界の人は数学に強い人が多く、数学に強い人ってだいたい凄い頭がいいんですよね、、、

 

本作品でもその様子が描かれます。

ハルが何年もかけて得た知識とノウハウをハガナとアフロの仲間たちはPC上に再現し、誰(ハガナ)でもそのノウハウを使えるような環境の構築を進めていきます。知識の元がハルのだったため、作中ではなんとなくハル>ハガナのソフトのような雰囲気を出していましたが、本当にそうでしょうか。

発展段階ではソフトがハルのような投資効率を出せないことがデメリットのように描かれており、それは実際ソフトの欠点でした。しかし、終わりを見て総括すると、ソフトの真骨頂は大勝ちはしないが、大負けもしない安定感でした。

”損は出さない”という鉄則に従えることができたのはハルでしょうか?ソフトでしょうか?1巻時点ではソフトですよね。

 

これは今、世界の研究所で起こりつつあることです。管理人はあと何年研究者として落ちぶれずにやっていけるのでしょうか、、、(笑)

 

 

まとめ

うーん非常に良くできた作品でした。こんなに感想を書いたのは久しぶりです。

ラノベの感想のうち幾つかは

 

World end economicaは3巻構成の作品です。

あと2巻はどうなるのか。楽しみですね。

 

ちなみに本作品はクラウドファンディグで2000万円を集めてアニメ化というこれまた凄い話もあります。

これはまた別の機会に述べたいと思います。管理人は当初から知っていましたが、見事に波に乗り遅れました、、、