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アニメ「灰と幻想のグリムガル」感想 アニメリィのいじらしさ

 こんばんは、へるもです。

 

アニメ「灰と幻想のグリムガル」が絶賛再放送中ですね。新しいものを開拓する時間がなくなってしまうので、同じアニメを何度も見るのはやめとこうと思っているのですが、9話はそれでもやはり何度か見てしまいます

 

ラノベ原作だと1クールで5巻分、6巻分の話を駆け足気味に進むのが最近の常識になっているように思いますが、本作品は2巻分を丁寧に描写してくれています。その恩恵が9話です。15分にも満たない日常シーンではありますが、私は凄くスキです。アニメを見たことがないという人がいたら是非見てほしいなと思います。

 

アニメはもちろん、原作小説14巻までの内容に触れることもあるので、ネタバレを避けたい方はぜひ14巻まで読んでからまたいらしてください。

 

  

義勇兵宿舎か、懐かし」 

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アニメ「灰と幻想のグリムガル」9話より

私服メリィが凄くいい! 

 

いつもの冒険者風の格好ではなく、そこはかとないフェミニンさを感じる服とアップにした髪が凄くあっています。あと服にしても宿にしても生活にしても他メンバーに比べてお高めそう。メリィって先輩冒険者ですもんね。メリィ自身がかもし出す雰囲気にしてもお金に余裕がありそうな感じも、グリムガルの先輩感が窺い知れてよいです。

突然のエンカウントに固まるハルヒロに対して「座ったら」と促すメリィの大人の余裕がすばらしすぎる

 

ただ、メリィの落ち着いた態度や、緩やかに流れる音楽と水彩画のような背景から受ける柔らかな印象とは裏腹に、ハルヒロの緊張や語られる内容から、この物語の中に確かにある彼女の喪失も感じられます未亡人感が凄い。

この境界線の曖昧な感情表現からは、単純な慟哭から感じるそれとは違う、深い物悲しさを感じずはいられません。世の中にはどうしようもないことがあって、傷は隠れていても確かにそこにある。それでも乗り越えないといけなくて、それがじくじくとした痛みを伴うのです

 

(CMに入る際のいきなりの巨乳アイキャッチが風情を台無しにしているような気がしますが。(笑))

 

 

乙女リィ

サイリン鉱山の話題が出て駆け出すメリィが向かうのはハルヒロと夕焼けを見たテラスです。メリィは今のところ、ハルヒロにだけ心を許しているような感じがありますね。

ハルヒロが泣き出す?ところでメリィは手を前にやったあと、後ろに組みなおします。これは何を意味しているのでしょうか。いじらしくてカワイイですね。

 

というかこの時のハルヒロの内心のフォローはかっこよかったですね。俺たちもマナトが死んだ場所には近づけない、と自己を振り返るのは自分の傷をえぐっているようなものです。自分の傷をえぐることでメリィの痛みを再確認し、共感しようとしているのかもしれません。なかなか出来ないことです。

14巻で得た彼の能力と通じるところがあります。最近はとっちらかった印象を受けるグリムガルの物語ですが、一方でこんな風にひとつの芯がを感じてしまうことが多々あります。 

 

 

目の使い方

すごーく印象的な目(視線)の使い方をしていました。ガンダムUCでは手の演技で各キャラの心情を表していましたが、グリムガルでは目と視線で言葉以上のものを語ろうとしているように感じます。こんなに多くの情報量が生み出せるんだな。

 

・こんなに近くにいるのに、ほとんど目を合わせないメリィとハルヒ

・メリィが立ち去る場面で一人ちらっと見て視線をはずすランタ

・仲間の死を乗り越えたいといっているときの目を見開いたメリィ

・お互いにちらちらと目をあわせるだけのハルヒロとメリィ

 

なんかほぼメリィ絡みですね。旧パーティ解散後の生活を見ると分かるようにメリィは非常に自己罰的、抑圧的な性格をしているので多くを語ると違和感が生まれかねません。その分、目での細かい演技が入ったのかな?

 

wikipediaを見ていると監督の中村さんは「原作に忠実であるより誠実に」を心がけているようです。大人びた姿、抑圧的な性格、それでもハルヒロに頼ってしまう。14巻まで読んだ今でさえ、アニメリィの姿と原作メリィの違いにズレを感じません。凄いですね。この方が関わった作品を他にも見てみよう。

 

中村亮介 (アニメ演出家) - Wikipedia

 

 

「夕方からシェリーの酒場で集合だっけ」

14巻の感想で書いたように、大変な世界を生き抜くハルヒロたちの物語がこの物語の根幹をなす魅力だと思います。一方で、こんなハルヒロとモグゾーの会話のようなゆったりとして、それでいてリアルな生活感の描写もグリムガルの魅力であると思います。

 

手作りの歯ブラシで朝の歯磨きをしている主人公とパンの焼き具合について淡々と話すお料理キャラなんて、ほかの作品であったでしょうか。特にこのもぐぞーが出している日常感なんて凄く良いです。

 

食いしん坊、飯マズ、料理上手、、、料理というのはキャラクター性を決める重要な属性なので、作品の中でかなり強調されて描かれることが多いですが、もぐぞーはうまく焼けたパンを別段誇ることはありません

その焼き方を数ある工夫のひとつとしてサラっと言ってしまいますし、ハルヒロもことさらに驚いたりしません。彼らにとってはそれが普通で、グリムガルで生活しているんだなぁ。

 

今日の予定を確認して、夜まで何をしようかなーって思うところも見に覚えがありますよね(笑)異世界転生なんてしたことないのですが、ふとした瞬間に自分の生活と重ね合わせることができる部分を見つけてしまいます。

 

 

ハルヒロくん、今後ともよろしく」

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アニメ「灰と幻想のグリムガル」9話より

ハルヒロの長い長いリーダー道の第一歩がシホルのこの一言かも、ですよね。原作にもあったんだっけな?

 

もちろんメリィ加入やゴブリン報復戦でも立派にリーダーを務めていましたが、それはマナトの言葉半分、流れ半分のもので、ハルヒロが自分を奮い立たせるための行為だったのではないでしょうか。マナト死亡の後悔やそれにより挫けそうな心を叱咤するために自分にその役割を課したというか。少し誇張した表現を使うとこの時点では、リーダーというのはハルヒロだけが自認している仮初めのものだったようにも思うのです。

なので、一区切りついた今改めて”これから先のこと”他人からお願いされたことにきっと意味があるのです。

 

 

シホルとハルヒ

そしてこれを言ったのがシホルであることに、ハルヒロとシホルコンビが好きな自分は少しテンションが上がります

 

ここでのシホルの言葉はリーダーをお願いします、ではなくて、チームメイトとしてお願いします、くらいの言葉だったのでしょう。でも、この先、辛い辛い長い旅を経て、リーダーと副リーダーという特別な信頼関係を作っていくんですよね、この二人は

 

マナトがいた位置にハルヒロがいて、シホルは本心を飲み込みハルヒロと同じ光射す海を向いています。とても象徴的です。

というのも、これまでずっと物語の裏にはマナトがいました。彼がいたから結成されたパーティで、彼を殺したゴブリンに復讐するために一致団結していました。そんなハルヒロらがついに彼なしでパーティの形を作り上げ、先を見れるようになった最初の瞬間がこの時ではないでしょうか。

そして、一人欠け、二人欠け、くしがボロボロになっていくように元の形を失っていくハルヒロたち一行で最後に残るのはこの二人です。

 

最初の二人が、最後の二人。決して正確な表現ではありませんが、ある種の美しさを感じます

 

13、14巻ではついにシホルまでもが危うい立場に立たされてしまいます。この二人であるところに物語上の大きな意味は特にないかもしれません。それでも傷ついたシホルを救うのはハルヒロであったらいいなと思います。

控えめに言いましたが、よろしくされたんだから、ちゃんとシホルを救えよハルヒロ!

 

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