漫画「幼女戦記」14巻 感想 凄惨なものは美しい?凄惨だからこそ化粧が必要? 【ネタバレあり】
こんばんは、へるもです。チョロチョロ書いていたのですが、14巻の感想が、15巻の発売までに間に合いませんでした。(笑)
はだしのゲンとか読むと作品世界に引っ張られてウダウダ考えてしまう性質なので、漫画の感想なのか、戦争に対する感想なのかよく分からないものを書いてしまうんですよね、、、そんなの誰が見たいんだっていう。
そんなちょっと重めの14巻の感想になります。(笑)
本記事はネタバレを含みますので、ご注意ください。
戦場の華
漫画「幼女戦記」14巻より 画;東條チカ
ちょっと少女マンガっぽいターニャと薔薇。薔薇の書き込み具合すごいな!鉄とか土っぽいものばっか映る漫画なので花という生のものがあると異様に目立ちます。綺麗なんですがちょっと不気味です。
そして背後には目立たないですが、、、これは炎?
炎炎と続く嵐
16ページ!16ページです。地獄が…
白い炎のかっこいいと感じる自分もいるのですが書かれていることは紛れもなく人類史に残る悲劇の一つです。
漫画「幼女戦記」14巻より 画;東條チカ
絵を見ていると基本的に(上ではなく)右から左に炎が流れており最終的にはその流れが無茶苦茶になります。延焼の勢いから始まり、行き場を失った炎が荒れ狂い、都市が灰燼と化す。そんな容赦のなさの中で、まるで副次的なもののように人の命が失われていくというのは空恐ろしいとしかいいようがありません。
小さいタブレットしか持っていないことを少し後悔しました。電子書籍だと1ページ毎の表示なので迫力が減衰されていたのじゃないかなって思います。初見でこの迫力を余すことなく味わいたかったです。
火をつけた人
終戦記念日が近くなると思うことがあるのですが、それはなぜ人は東京大空襲や原爆投下を行えたのかということです。だって相手は民間人ですよ?
漫画「幼女戦記」14巻より 画;東條チカ
長年疑問に思っていたことで、もちろん答えの候補はいくつか知っていますが、あぁそうなんだろうな、と思ったのはこれが初めてかもしれません。
生き残るため、生き残らせるため、命令があったから、敵は敵だから。
きっと相手が誰かということは心から締め出していた(そもそもなかった)んだろうな。本編でも街を焼いているのは砲兵隊でした。
鋼の錬金術師だったかな?剣、弓、銃と、人の道具はより殺しの実感がなくなる方向に進んでいるという言葉があって凄く印象に残っていたのですが、ちょっと重なるものを感じます。
幼女戦記のジャンルって何?
映画の感想でも述べたことですが、私は本作品をあまりギャグものとして見れていません。それどころか戦争経験者の伝記を見るような気持ちですらあります。
なんとなくズレた見方をしてるのかなと思ってたのですが、この巻ではっきりとしました。私の見方はおそらくある程度は普通で、この東條チカワールドが私の意識をそういった方向に引っ張ってきたのでしょう。
コンプエース宛ての感想の件、冒頭カラーページの終わりに関連ページがあります。QRコードとURLどちらからもアクセスできます。 面白い作品がたくさん掲載されておりますので、どしどし感想をお寄せください!#マシュマロを投げ合おうhttps://t.co/E6w2R97SZL pic.twitter.com/RU7aoDpybJ
— 東條チカ (@yooochika) 2019年5月3日
東條チカワールド
原作でもアニメでもアレーヌの戦いというのはここまでフィーチャーされていなかったです。あったのはヴァイスやグランツの躊躇いとターニャの冷徹な思考が生むドラマでありフランソワの軍人や民間人的な人にとっての絶望というのはそれほどなかったように思います。
「自分が生き残ることを考えたまえ」は原作にあるセリフです。 熟練兵がこれを新兵に教える意味を考えた時、掲載誌の読者、そのなかでも特に低年齢層が理解しやすいよう、かみ砕いて説明する必要がありました。#マシュマロを投げ合おうhttps://t.co/E6w2R97SZL pic.twitter.com/fz1CsibVtt
— 東條チカ (@yooochika) 2019年5月1日
しかし漫画版では気合の入り方が違います。幼女戦記が東條チカ氏の中に吸収/消化され、漫画という形で再構成されたのがこの惨劇です。東條チカ氏は何を思ってこれほどの描写をしたのでしょうか…氏が非常に真面目で勤勉であることはツイッターから伺えるのですが。
存在X
幼女戦記14巻 東條チカ
ターニャのセリフや帯を見ると、存在Xを非常に強く意識したシーンだとは思います。が、管理人の中ではその理由だけじゃ消化できない部分があります。
幼女戦記14巻 画;東條チカ氏
個人的には存在Xって波乱万丈なターニャの人生の一要素って感じしかしないんですよね。
戦況の変化や苛烈な上司、ソ連のキモいおっさん、メアリースーと同格で特別感のある敵ではない。もちろんターニャの出発点でもあるわけですので、こいつらと同レベルというのもおかしな感覚なのですが、ここまで強いシーンをちっぽけな存在Xへのメッセージとするのもあれだなーと。
なんていうか同じ箱に入っているのは分かっているけど、それらを紐でつなげることができないもどかしさ、、、どういう気持ちで作画したのか少し気になります。
幼女戦記の感想はグランツにもっと触れるべきだったのか
さて、シナリオからずれたうだうだとした感想はここまでとして、今回もターニャの側の完勝でした。にしても、ばっかばか敵を排除しまくるターニャが異様でしたね。まさに悪魔。グランツ君はよく抗命したものです。
アレーヌでの戦いにおけるもう一人の主人公はグランツ君でした。
ターニャ曰く真面目要員にあたる彼は読者の気持ちの代弁かもなと思います。いやいや、ターニャさん、あなた殺しすぎでしょ、という意見は漫画読者が持ちうるひとつの思考だと思いますが、それに対する反論が作中のセリフなのでしょう。つまり、その思考は味方を殺す、だから相手を殺すのだ。
「長く生きていれば・・・」
幼女戦記14巻 東條チカ
また真面目路線に入って語ってしまったなと思うのですが、それはもうしょうがないことです。なぜなら本編ですらいつもならツッコミがはいるところに突っ込みが入りませんでしたし!(笑)
ポニテさん生きてた!
幼女戦記14巻 東條チカ
ポニテさん生きてた!普通に死んでいてもおかしくないなと思っていたのですが、まだまだ活躍の舞台はありそうです。名前はポニテロッテらしい。雑い、、、(笑)
どんどん他キャラに焦点があたるようになっているので一緒に登場しているモブ1,2も常連キャラになるのかな?
世界の車窓から
戦闘後は参謀本部に呼び出されてウーガさんとの密談でした。原作にもあったような流れなので会話の内容より記者の作画や車窓からの風景がきれいだなーというところに印象が残りました。
幼女戦記14巻 東條チカ
やっぱこれ写真じゃない?歴史の教科書にのってそう。
最近、写真(加工)+(漫画的)絵というものの組み合わせをチラホラみるようになりましたが、どんどん違和感がなくなってきているような気がします。2010年くらいのロッテのガムの実写CMにハルヒが出てくるということがあったのですが、明らかに絵が浮いておりちょっとキモかったことを覚えています。
作風があえば写真を加工して作画コストの低減とかするようになるのかな?(もうすでになっている?)
餓えた獣の前に生贄を投じた連中の責任
最後は狂犬と狂信者を世に放つゼートゥーアさんの覚悟?の一文で締めくくられました。この心構え好き。あとこの話の扉絵?の花が異様に印象に残っています。
15巻はどんな話になるのでしょう。
狂信者狂信者
神か悪魔か・・・
幼女戦記14巻 東條チカ