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ラノベ「灰と幻想のグリムガル」14++巻 感想 メリィ尽くしの感想と乱高下するランタ株 アニメ組にもおすすめ【途中からネタバレあり】

こんばんは、へるもです。

 

非常に久しぶりですね。灰と幻想のグリムガル 14++(プラスプラス)の感想です。いつも【ネタバレあり】の感想にしているのですが、今回は【途中からネタバレあり】の感想にしました。

というのも原作未読のアニメ組の方にも14++を是非見てほしいなと思ったからです。特にメリィファンの方には!

  

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灰と幻想のグリムガル14++巻より 十文字青

 アニメに慣れてしまったので原作絵に少し違和感をもつことが多かったのですが、この絵は凄い好き。

 

 

14++はアニメ組も満足できる補間サイドストーリー

14++巻には1巻のメリィ加入時、2巻と3巻の間に起こったことについてサイドストーリー的なものが載っています。アニメはちょうど2巻までの話を映像化したものですので、特に違和感もネタバレもなく見れると思います。

 

しかも非常に質が高い。

サイドストーリーといっても千差万別ですが、この物語はメリィの本質的な部分に迫るもので、なおかつハルヒロ視点の本編では見れなかったものだと思います。

最初のパーティが全滅した後、どうやって過ごしてきたのか、ハルヒロパーティ加入時にメリィは何を思っていたのか、サイリン鉱山で過去と向き合ったメリィがどう変わっていこうとしているのか。

彼女の人生の転換点が小説の半分弱くらいを使って描かれており読み応え十分です。

 

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灰と幻想のグリムガル14++巻より 十文字青

メリィがメインの話だけでなく、小説の冒頭はマナトもまだいる部分の話ですので(ランタとモグゾーメイン)、アニメのあと続きがどうなるのか気になる、でも原作をたくさん読むのもなぁ、というちょっとしたデザートがほしい方にはぜひ読んでみてもらいたいです。

 

BookWalkar公式へ「灰と幻想のグリムガル14++巻」  

 以降、原作に関してのネタバレを含みます。

 

 

ランタうぜええぇえ! 

モグゾーとランタの料理対決のお話。これぞランタという、上がりすぎたランタ株を下げてかかったようなお話でしたね。(笑)

ただ、モグゾーやマナトがいると話としてもパーティのバランスとしても非常に安定するなって思いました。たしかにランタはうざいんですが、この二人がいることで一線を超えずに笑える範囲でおさまるし、何よりネガティブな感じが微塵もなくなります。

 

メリィもクザクもセトラも好きなのですが、やはり最初の6人のパーティはそれで完成形だったのかもしれない、と思わざるを得ません。

グリムガル 14+では孤独に生き延びたランタが非常にカッコよいという感想が多く見られました。管理人もそれには同意で、ランタの強さは弱肉強食というシンプルな世界でだけ活きるのかな、他人への配慮や遠慮が求められる環境がランタの1番の強みをダメにしていたのかな、と思っていました。

 

が、この話のことを考えると、最初の6人のまま進めていたら6人のままでランタは(方向性は違ったとしても)14+ランタくらいの強さを得ていたのかもしれません。

2人の死というのはそれだけでもちろん大きなものでしたが、その2人の喪失によってパーティとしての強さどころかパーティメンバーの人間の在り方自体が変わってしまったということをこの短文で予感してしまう儚さ、運命の揺らぎというのは本作品の大きな魅力ですよね。

 

 

凸凹コンビ

さて、ランタの話ばかりでしたが、モグゾーとマナトの話でもありました。この2人は本当に優しい人たちです。死んじゃったんだな。ぐう辛い。

 

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灰と幻想のグリムガル14++巻より 十文字青

 
特にモグゾーとの相性のいい凸凹コンビ感は見ていてわくわくするというか、微笑ましいというか、やはり凄くよかったです。ランタの自由奔放さにハルヒロは(そして読者は)どうしてもイラついちゃいますが、モグゾーはひたすらに我慢のできる器の大きさがあります。


だからこそ、ランタがいきなり勝負をふっかけたり肉を盗んだりしても、モグゾーは耐え続けた挙句にランタに一泡吹かせることができるんですよね。この2人ならこうなる。そうこの2人なら。お互いの良さと悪さが噛み合ってる。この絶妙なバランスわかりますよね?
そりゃソルゾ食うよ。

 

 

主観と客観と

グリムガル14+の感想でマナトは合理的な人間すぎて本心からパーティに溶け込めていなかったんだというようなことを書きましたが、この話を見ていると十分にパーティの一員ですよね。それなのにマナトは内面での寂しさを抱えていたのかなぁ。

暴走しがちなランタを仕切りうまく場を持っていっているように見えますが、彼がなりたかったのはもっと別の、意外にランタやモグゾーのような振り回す、振り回される、というような立場だったのかな。


何もわからないまま死んだわけでなく、希望に手をかけることができる環境と意思が揃った瞬間のデッドエンドという彼の人生はグリムガル世界の中でも屈指の不幸さな気もします。

 

 

ゴールデンドロップ

オリオン離脱後~ハルヒロパーティ加入までのお話。凄い、、、凄い良いサイドストーリーでした。マナト、ランタ、そしてメリィ。ここ最近に発刊された分の一人称サイドストーリーにハズレがなくてびっくりしました。


全部で16巻分の話なのでサイドストーリーとするに美味しい部分があるのはおかしくないのですが、こうも濃く質の高い話が読めるとは。おそらくこの14+と14++がグリムガルを救ったことになるのではないでしょうか。

ハルヒロたちを男の子、女の子扱いするメリィの先輩感が凄くよい。あと風呂を儀式としているところもよい。お姉さん! 

 

(この話になんでか挿絵がないのが悲しい。あったらよかったな。) 

 

 

失った穴を何で埋めるのか

軽いのりで書き始めましたが、この話はつらい。本当につらい。メリィの誇り高さと、それに足る人物であろうとする意思や努力があったとしてもそれを躊躇なく引き裂くグリムガルの世界がつらい。

 

以前のメリィは”頑張る”ことができる人でした。それが自己愛に支えられている部分にあったとしても仲間を想う前向きな意思がそこにあり、自らの行動の理由を自分の内面に求めることができたと思います。

それがフリーになってからは”仕事”と割り切っているのが本当に痛々しい。仕事というのは契約です。契約で行うのは、誰かから求められたから、です。仕事に自発性が伴わないとは言いませんが、言われたことをただやっているメリィに前向きさなんてあるでしょうか?

 

この気持ちのあり方は管理人は凄く理解できます。頑張って頑張ってそれでも失敗するって辛い。リトライできることであれば自信を取り戻すチャンスはあるのですが、死んでしまった人は帰ってきません。心が折れてしまった、そんな中、"頑張って"神官としてやっていくことができるでしょうか。そんなん無理だ。

 

 

失敗した人間の戦い方、生き方

だけどこれは逃げだけではないんです。だって彼女は神官を続けていたんですから。神官が嫌になったのであれば職業を変えればよいし、もっといえば容姿に恵まれた彼女のことですから幾らでも生きようはあったはずなんです。

でも彼女はそうしなかった。フリーで稼げるからということもあるんでしょうが、きっと逃げたくなかった。誇りを取り戻したかった。

 

この話はハルヒロパーティに入るまでの経過を追った話でしたが、同時にメリィの内心の戦いの物語でした。誇り高いメリィが立ち上がるには他人の助けは逆効果で、自分で立ち上がらないといけない。誰かを倒せば終わり、何かを達成したらそれで成功。そんな単純なものでない、心のありようをこうも表現した話を見れたのは凄くよかったです

誰か立ち上がるのにふさわしい場所を彼女にあげてくれ!ハルヒロ!

 

というかキッカワが割りと重要な役割をもっていて少し笑った。ヨロポコっていっちゃいそうになっているメリィの隙が好きです。少し救われていたんだろうな。

  

 

メリィさん思ったよりずっと修羅場を生きてきた

話の主題はメリィの喪失と葛藤でしたが、目を引いたのはゾワリとする日常にある恐怖です。


自由同盟でしたっけ?メリィを襲った人たちってたぶん、グリムガルの世界のつまはじき物でウルトラアウトローってわけじゃないですよね。もちろん全く同じ生活圏というわけではないでしょうけど、そこから少し外れただけで自分の身を狙ってくる人がいるって下手なゾンビものより怖いシチュエーションです。
このすばのヒロインたちがこの世界にブッ込まれたら間違いなく食い物にされてしまいます。めぐみんとか不可避だ。

 

というかメリィは美人設定のせいなのかずっとこんな目に合ってますよね…フォルガンとか。シホルはラッキースケベ要員で平和なのに。

強姦魔にキックかまして逃げるところはその意思と決断がカッコよく、張り詰めた糸のような危うい生き方(逃げ切れなかったらどうなっていたことか)に尊敬?敬意?を抱きます。頑張って、幸あれ、と祈らずにはいられません。


サモトラケのニケは頭がないからこそ人の心に強く残る、といわれますが、彼女のありようはそのニケのようです。人間的な心や生活の豊かさを捨て、ただひたすらに切り詰める彼女の姿はいっそのこと美しい

 

 

ハルヒロパーティ加入前後

自分でなんとかするしかなかったこのころに比べるとハルヒロパーティ加入後はクザクやランタが助けてくれました。
抜き差しならぬグリムガルの世界で自己防衛のために自分の殻に閉じこもるのが悪いことだとは思いませんが、一歩踏み出し仲間を求めたメリィは確実に当人にとって良い環境を手に入れています。この対比構造というのもなかなか味があると思います。

 

でも、やはり、もうちょい、、、もうちょい救いが欲しかった、、、ところではあります。全体的に。メリィ死亡はやはり読者の絶望ですね。ジェシー出て行かないかな。

 


はいきたー癒し。癒し。

いやー実は読みながら少しずつ感想を書いているんですよね。サブタイトルが「7.夜明け前」から「1.普通な感じ」に戻って、え!メリィの話はここで終わりか!物足りないなー、なんて思っていたのですが、そこからの続メリィサイドストーリー!いやぁ、良いよ。恐怖のメリィ良いよ

  

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灰と幻想のグリムガル14++巻より 十文字青

少ない挿絵にメリィを持ってくるのは英断…間違いなく…

 

 

メリィのキャラクターってどんなの?

それにしてもメリィってこんな良キャラだったんですね。
おしゃべりメリィ、性悪メリィ、恐怖のメリィ、ゴブリン退治後の打ち解けメリィ、とメリィはかなり大きな振れ幅のある性格描写がなされており、ハヤシが昔はおしゃべりな明るいキャラだったと言っていても、それは無理のある設定では?というくらい想像できない部分がありました。

グリムガルの人物描写って実は意外に少ないんです。これは、変なキャラ付けとセリフで色々な描写を省力化し、ハルヒロ自身や世界観を表現することに力点を置いているからだと思われます。


が、このサイドストーリーによって全てがつながったような気がします。全部メリィなんだろうなと思えるようになりました。スイッチが入れば計算高いけど気を許したら割と無防備で純粋というのがメリィ?

隙のあるキャラってやっぱりいいですよね。一緒に飲みたい。

 

 

物語のメリィ

前のパーティのように気が合えばおしゃべりなメリィ、一匹狼時代の恐怖のメリィ、そんな自分の内面を気にする寡黙シャイメリィ。

どれが自分の地であるのか悩むメリィというのが話のバックグラウンドにあったわけでしたが、申し訳ないながら読者にとっては正直そんなのはどうでも良く、そこを気にしちゃってわざわざ弁明に足を運ぶのが可愛い。それだけで良い

 

わざわざ弁明のために一人で橋で待ってるって、実は客観的に恥ずかしいというか違和感ある行動だと思いますし、メリィがそこに気づかないわけないんです。でもきっと、それを口実に会えるならそれでいいんですよね。

私何しているんだろう、、、でもこのままだと誤解されたままになるし(まぁいいか)、、、なんて自己弁護しながら3時間も橋で待ってたんですよ。

 

 

メリィさん割と無自覚直球タイプ

というか、メリィさんあなたは誰に弁明しにきたの?会いにきたの?パーティに?ハルヒロにですよね?

本編ではミステリアスキャラ感もありましたが、考えてみれば「ハル」と呼び始めて以降この子は常にハルヒロへの好感度マックスです。

 

たぶんメリィは最初から無自覚に恋に落ちていた(書くだけでも恥ずかしい言葉です)んじゃないですかね。自覚があったらあんなにあからさまな行動はみんなの前で取らないと思いますし、安心できる場所への依存というだけでもないでしょう。何故ミステリアスキャラだなんて思ってしまったのか。ミモリンばりのハルヒロラブ勢です。

 

 

音と映像付きで見たい

アニメリィは原作メリィよりクールによってると思うのですがアニメリィの強さで鍛冶屋を押しつつその時の態度を恥ずかしがるところが見たい。ちょうど話の流れもいいので2期とかOVAでやってくれないかな。流行のクラウドファンディングとかで。14巻しかないグリムガルの感想記事って毎月2000PVくらいあるのでかなりファンは多いと思うのですが。

 

やはり世の中実弾か。ものを増やすのが嫌なのですが、ドラマCD買ってみるか、、、電子書籍版みたいなのほしいです。本当に。

 

 

ハルヒロパーティの話でもありましたよ?

話を入れれなかったですがもぐぞーと友よーをしたり、メリィをフォローしようとして誰も上手くフォローしきれない不器用なパーティっぷりも良かったです。
最初のギクシャク状態からよくぞここまで仲良くなれたなぁ。みんないい人でみんな最初から仲良しというのもいいんですが、こういう関係性最悪なところから一歩ずつ築いていく絆というのもいいですよね。

 

 

同期の話

こういう話が入っているとは正直意外でした。ユメ、レンジたち、そして、、、!

 

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灰と幻想のグリムガル14++巻より 十文字青

 

どうでもいいけどこれ胸?ヒジ?シホルではないかと疑いました。

 

モモヒナ関連の前半部分は正直ふーんて感じでしたけど、レンジたちと旅をともにするのがよかった。昔はレンジはすかしているだけで腕自慢の人って感じでしたが、この巻でレンジってこんなキャラだったんだ、と思った人は多かったのではないでしょうか。

 

 

レンジパーティ

まさかのサッサの死亡。同期の中で選りすぐりの人間が集まったはずのレンジパーティでも欠けるときは欠けるし、欠けるのはやはり選りすぐられた人ではなかった(サッサは自分から加入を名乗り出た)。ここらへん厳しい。

 

最初は分かりませんでしたが、レンジなりの悲しみ方をしているんだな、と思うとレンジが男にも女にも人気があるというのは凄く納得できるような気がします。何があったのかについて具体的に語られることはあるのでしょうか。悲しい場面ですが、知りたいと思う自分もいます。

 

ちょっと面白かったのはアダチです。嫌な感じの人間ですが、美味しい料理を毎回作ったり馬にそっぽむかれたりとギャグキャラの才能を感じずにはいられません。(笑)ともすればユメがいてさえも物悲しい雰囲気になってしまいそうなところを彼が救ってくれたような気もします。

 

 

ユメとランタ

ランタのパワーアップでも思いましたが、やっぱり強くなっているっていい。素手での格闘ばかりで近接戦闘要員になるのかと思っていたのですが、弓の苦手なユメが頭部を打ち抜いていて驚きました。

囲まれてもばしばし敵を倒していき、ユメも頼もしくなったなぁと思います。それでも本当の強者にはかないません。

 

からの・・・!

 

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灰と幻想のグリムガル14++巻より 十文字青

ランタ!

 

王道かよ! 

 

ランタはうざいうざいと言われており唯我独尊キャラに見えますが、読み返すと仲間との距離を測ろうとして葛藤する場面が意外に多く、別に自分のことしか考えていないというわけではありません。

だからこそこのシーンはかっこよい。いろいろ悩み、出した答えが「俺は俺の心に従っているか?」という生き方です。そして、その生き方を貫ききった先にあるのが今回です。

熱い!

 

これはユメさんも見直しちゃうこと間違いなし!戦闘パートが終わったら株が急降下してレンジにいいとことられそうですが。(笑)

 

ハルヒロたちは行方不明ということですが、レンジたちにユメ、ランタが加わって6人で進むということはあるのでしょうか。離散したパーティが一人、また一人と集まっていく様子は少年漫画のようですね。15巻が読みたい。

 

 

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