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漫画「五等分の花嫁」8巻 感想 続き 一花と五月とふーたろーの立ち位置【ネタバレあり】

感想の続きです!やはり6000字を超えると読むのしんどいですし。

 

前編はこちら

herumo.hatenablog.com

 

四葉は分かりやすい性格というキャラメイキングがなされているのですが、実は肝心な部分を隠すのはうまいのでは??

・・・

純真な彼女の秘めた想いが紙面に現れるとしたら、どんな風になるのか。どきどきですね。

当ブログ 五等分の花嫁 8巻 感想より

 

初めての友達

四葉の秘める思いはどうなるのか?これを考える上で重要なのは、彼女のサポートキャラとしての役割を誰が担うのか、ということです。

勉強然り、花火大会然り、林間学校然り、ずっとふーたろーの役割と心を支えていたのは四葉です。それはそれでいい関係だとは思うのですが、残念ながらそのポジションにいながら恋愛面で物事が進展する兆候は今のところありません。(もしかしたら四葉の赤点回避が”鍵”となっているかもなのでなんとも言えませんが)

 

彼と彼女の関係を進展させるためには、ふーたろーが苦労してもそれを助けてくれる”四葉でない誰か”の存在が必要で、そうなって初めて四葉がサポート→自分の恋愛にスライドできるのかな、と思いました。

じゃぁそれは誰かというと・・・

 

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 春場ねぎ著 五等分の花嫁8巻

五月!

 

これまで頑なだった五月も、温泉回では素直に心のうちをふーたろーに打ち明けるようになり、赤の他人と言っていたふーたろーのことを”友達”と再定義します。

 

というか「赤の他人」→「パートナー」→「友達」と徐々に徐々に関係性を深めていく描写に五月のヒロインとしてのポテンシャルを感じますよね。1~3は「友達」を割りと早めにすっとばして恋に落ち、4は最初から味方(「友達」的ポジション)なので、5の順を追った関係構築がなおさら際立ちます。

 

友達の段階で混浴しちゃうくらい気を許してしまっていますし(風呂担当二乃ですらそんなことはなかった)、恋愛関係になったとしたらこの先どうなるの・・・?林間学校でふーたろーを警戒していた五月はどこにいったんだ、って感じです。ここの五月はとても可愛くてよかったです。

どうでもいいですけど白いバスタオルってぬれると透けますよね。

 

 

五月の立ち位置の重要性

重要なことは、友達のいないふーたろーに友達ができたということです。6巻あたりで描写がありますが、ふーたろーは寂しがりやだと思っています。

 

 目したいのは同じシーンでふーたろー君の内面も描写されているところです。デリカシーに欠けゴーイングマイウェイぎみな彼が気にかけるもの、それは「他人に必要とされているか」あるいは「その場での自分の存在価値」の完全性、特別感です。もっとシンプルにいうなら、ふーたろーは寂しがりなのだと思います。

herumo.hatenablog.com

 

そんな彼に出来た始めての?友達。重要なポジションです。

そして、その友達からのふーたろーへの相談とお願いで”お悩み相談をやるか”とやる気を出していますが、姉妹に対するアプローチとして先生と生徒の枠を超えて何かをするというのは初めてではないでしょうか。ふーたろー自身の変化としても五月の変化としても、地味に重要な変化が出てきている場面になっています。

 

五月の森編では二人三脚で謎に挑んでいますし、友達になったふーたろーと五月の関係がどう進展するのか、というのは四葉のストーリーとあわせて楽しみですね。

 

 

一花と長女

一花のストーリーは3巻くらいからずっと続いてきたので話すと凄く長くなります。(笑)8巻部分は下にスクロールして「一花と姉妹」から読んで貰えればと思います。

 

恋愛表明組みの3人に関して、そのキーワードをなんとするかと考えると、二乃は”自分の気持ち”、三玖は”先生と生徒”、一花は”長女”だと思います。普通ですね。(笑)

 

姉妹の中でもっとも他人受けする一花は、偶像的な崇拝を受けてきました。

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春場ねぎ著 五等分の花嫁4巻より

 五月と同じものを買っても一花だけが屋台でおまけをもらえるという外見的なところも、汚部屋の住人であるのにクラスの男子からは部屋も綺麗な完璧常人と見られるという内面的なところも、かなり過剰に評価されてきました。(過剰というと語弊があるかもしれませんが)

きっとこれは一花が自分に貸した長女という役割を演じる中で自然と、だけど本人は違和感を覚えるくらいには不自然に、できていった評価なのでしょう。

 

 

一花と涙

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春場ねぎ著 五等分の花嫁8巻

今回の描写からは、それがストレスだったんだろうな、と思います。

”長女として役割に”ストレスに感じているという明確に表現されることはなかったかと思いますが、「”でも”平気だから」なんていう人が平気だったことはないでしょう。そんな言葉概して自分に言い聞かせるためのものでもあり、姉妹を気にかけて、自分のことを我慢して、笑顔を貼り付けて(アニメのOPにそんな歌詞があったような)、その結果が涙です。

 

あるとき涙が止まらなくなるというのは一花の特徴ですね。がまんに我慢を重ねた結果としてそうなってしまう人というのは現実に時々いると思います。胸のあたりがきゅっとなってしまいます。

 

 

一花とふーたろー

その中で唯一”どじだな”とのたまうふーたろーは一花にとって自分を”長女”から開放してくれる唯一の人間です。

 

「ふーたろーが姉妹の見分けをつけることが出来ない」というのはだいたいネガティブな意味で使われてきましたが、これは別に悪いばかりでなく、姉妹に対して差をつけた対応をしない、というポジティブな面も含まれます。

更に言えば、ふーたろーは(も)妹のいる長男です。おねーさんが”~”してあげるぞという態度で一花は自分のアイデンティティを保ちながら、実際は勉強を教えてもらうという妹分的な扱いもして貰えるわけです。

 

一花にとってこんなに楽な相手はいないでしょう。好意的に思わないわけがありません。

 

 

一花と感情

我慢を重ねる一花は奔放なように見えて実は”本当に自分がどう思っているのか”よく分からなくなっている。もう少し正確に言うなら、「他人のしたいこと」と「自分のしたいこと」のどちらを優先すべきかよく分からなくなっているようでした。

 

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春場ねぎ著 五等分の花嫁2巻

日常生活であれば問題なかったのかもしれません。2巻であったように線香花火を選ぼうと手持ちをの普通の花火を選ぼうと、執着せず”代替品”で満足する態度をとれば自分の心をだましきり、平安を保つことができます。

だけど、ふーたろーに関しては残念ながら”代替品”が存在しません。ふーたろーのことが欲しいけど、自分がどれだけ本気なのか分からなくなっている一花は、二乃や三玖のしたいことを邪魔して自分のしたいことを押し通してもいいのか、判断できません。これが彼女の悩みの根本です。

 

悩んでいること自体が実は答えなのですが、自問自答を繰り返す彼女が思考の檻から自力で出てくることはできないです。 

 

 

一花と姉妹

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春場ねぎ著 五等分の花嫁8巻

色々すっとばしばすが、最終的に一花は我慢しすぎる選択肢を選ばなくなりました。

この解決により一花は自分の希望についてしっかりと意見を持てるようになり、恋だけでなく、彼女の人生に大きな良い影響を与えるはずです。”寒いのに我慢する”より”寒いから部屋に戻ろうと提案する”方がいいに決まっています。

 

今回凄くいいと思ったのが、一花の悩みの解決が姉妹によってなされた部分です。それもいろんな姉妹の影響で

 

 

やはりサポーター四葉

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春場ねぎ著 五等分の花嫁8巻

最後に背中を押したのは四葉でした。部活騒動では四葉は気遣われる側でしたからね。それをちゃんと返した。ここら辺の姉妹の関係は美しいものを感じます。

そういえばコードギアスで一番美しい愛の形は兄弟愛だっていうセリフがありましたね。なんかそれを思い出しました。その後裏切って殺されてたけど

 

あと、ふーたろーとのデート回であったように実は四葉は真の「何がしたいか分からないガール」です。一花の変化を目の当たりにして四葉は変化するのかしないのか。

 

 

二乃は単純にライバルではない 

最後に背中を押したのは四葉でしたが、一花をとことん悩ませ、ある意味”あるべき姿”を見せた二乃には花丸をあげたいです。

欲しいものを手に入れようとする一花の手段って「自分をだます」「誘導尋問によるミスリード」「姉妹への変装で自分の欲望をかなえる(未遂)」となかなか穏やかでないものでした。女優や政治の世界なら使いこなせば武器になるとは思うのですが、人間関係でそれを使うのは悪手だと思います。完全に使いこなせなければ失うものが多い諸刃の剣ですし。

 

その中で二乃は一花がめざすべきロールモデル足りえていた、と思います。周囲をあまり省みず自分の想いをまず貫きとおそうとする次女をみて、「あ、それでもいいんだ」と思ったに違いありません。

 

こういった姉妹の関係というのは恋愛漫画ではなくスポーツ漫画のライバル的な側面を感じます。男気があるというか。見ていて清々しい気分になるのは自分だけでしょうか。 

でも、変装してかきまわす一花も悪くないといえば悪くない・・・というかぶっちゃけ見たかった気もします(笑)

 

  

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